釜石オープンアカデミー「日本版DMO」の理解促進へ〜観光まちづくり講演会、振興策探る

2016/09/30|カテゴリー:復興釜石新聞 観光

「日本版DMO」について学び、これからの観光振興について考えた講演会

「日本版DMO」について学び、これからの観光振興について考えた講演会

 

 釜石市が掲げる「オープンシティ戦略」の一翼を担う”観光まちづくり”をテーマとした講演会が20日、大町の情報交流センター釜石PITで開かれた。観光による地域づくりで近年、注目を集める「日本版DMO」への理解を深め、今後の観光振興策のヒントを探ろうと市が主催。市内外から集まった約80人が2人の講師の話に耳を傾けた。

 

 観光地域づくりプラットフォーム推進機構代表理事で、NPO法人グローバルキャンパス理事長の大社(おおこそ)充さんは、全国で設立の動きがある「DMO」について、その背景と必要性について解説した。

 

 DMO(デスティネーション・マーケティング/マネジメント・オーガニゼーション)は、専門性の高い人材がマーケティングに基づく地域の産業振興、人材育成に取り組んでいる組織で、観光先進諸国で導入されてきた。日本では、観光地域づくりを戦略的に推進しようと、観光庁が日本版DMO候補法人登録制度を設けており、関係省庁が連携して登録法人に支援を行う。

 

 日本版DMOについて大社さんは「旅行業者が観光客を連れてくる従来の主流から、地域が主体となり集客する”地域主導型”観光に変わりつつある中で、今までの観光振興の弱い部分を強化していこうという狙いがある」と背景を分析。地域全体で「観光地経営」をするには、観光以外の産業、住民との連携が不可欠で、今までの日本の観光振興策に足りなかったマーケティングに基づく目標値設定の重要性を説いた。

 

 「現状をより正確に把握し、打つべき手を考えるために客観的なデータは絶対に必要。根拠が曖昧(あいまい)で、誰も責任を取らないような目標値は民間企業では有り得ない」と大社さん。観光地域づくりのかじ取り役であるDMOの役割は、「成果が出る仕組みを作ること。自ら商品を作る、売る、集客するという、地域が自立するための仕組み作りが求められる」とした。

 

 続いて、長野県茅野市観光まちづくり推進室長で、同県DMOアドバイザーの高砂樹史さんが、現職の前に11年間関わった長崎県五島列島、小値賀(こじか)町の観光振興の事例を紹介した。

 

 高齢化率四十数%、10年で子どもの人口が3分の1に減少した同町は、若者の雇用創出、収入の安定を目指した地域再生で大きな成果を挙げた。島の豊かな暮らし、自然を地域資源と捉え、民泊や自然体験などで観光客を誘致。古民家を再生しプライベート空間を確保した「大人の島旅」が人気を集め、外国人観光客からも注目されるようになった。

 

 当時の観光協会など3組織は解散し、新たなNPOを立ち上げ島の観光窓口を一本化。DMOとして機能させた。観光客の満足度、地域住民の島への愛着心も向上。10年間で人口の1割以上の三百数十人がU・Iターンし、3分の2がUターンだという。

 

 高砂さんは「人口減による負の連鎖をいかにして減らし、交流人口を増やしていくかが鍵。釜石市において自身の地域ブランドは何か、100年後の釜石に残すべきものは何かというところを考えていただきたい」と提言した。

 

(復興釜石新聞 2016年9月24日発行 第523号より)

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